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最高裁判所第三小法廷 昭和38年(オ)311号 判決 1965年10月19日

上告人

榎本末吉

代理人

斎藤茂

被上告人

右代表者法務大臣

石井光次郎

被上告人

滝野潔

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人斎藤茂の上告理由一について。

上告人の先代榎本金作の原判示甲、乙両地に対する開墾は権原なくしてした不法のものである旨の原審の判断は、証拠関係に照らし、相当であり、右甲、乙両地が開墾されるにいたつた経緯について原審が確定した諸般の事情のもとでは、該両地が農地法二条にいう農地に該当しない旨の原審の判断は、農地法の精神に照らし、正当である。したがつて、原判決に所論の違法はなく、所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断ないし事実の認定を非難し、右と異なつた見解に立つて、原判決を攻撃するに帰するから、採用できない。

同二および三について。

前記甲、乙両地は農地法にいう農地に該当しないと解すべきことは前記のとおりであるから、所論は、結局、原判決の結論に影響しない事項についてその違法をいうに帰し、採用の限りでない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(田中二郎 五鬼上堅磐 横田正俊 柏原語六)

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